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医療機関が快眠マッサージ付き宿泊施設運営~経営破綻した地元旅館を買収・リノベし開設~



ロビーの様子。囲炉裏端でくつろぐこともできる


オルソグループ(大阪市)鞆浩康代表


 医療・介護事業者のオルソグループ(大阪市)は快眠セラピストによるマッサージ付き旅館「御宿コトブキ」を2022年5月から運営している。場所は兵庫県北部の湯村温泉郷で、全16室と小ぶりな施設だ。





 これまで、地元の事業者が50年近く旅館を運営してきたがコロナ禍で破綻。病院や老人ホーム、スポーツジム、飲食店など多角展開する同社が買収し、全面改修後、リニューアルオープンした。旅館経営に至った理由について鞆(とも)浩康グループ代表は、「西洋医学に偏った国内の医療体制に疑問を持ったことから健康を追求し、休息、栄養、運動、手技療法、地域医療を柱に『健康管理』を理念にしている。『御宿コトブキ』開設はその一環」と述べる。



日本の医療体制に疑問符 自分自身で健康管理する文化に



冬のシーズンは「香住のカニ」を提供している


 宿泊者に睡眠、食事、運動をとおして体を整えてもらおうと、「命を洗おう。生まれ変わりの宿」をコンセプトとし、同社独自の快眠技術を身に付けたセラピストによる睡眠改善サービスマッサージを通常の宿泊プランに盛り込んでいる。

 食事には、地産の魚介、d野菜など旬の食材を活かした料理を提供し、囲炉裏で楽しむ造りにしている。快眠がテーマのため、アルコールを自粛しているかと言えばそうではなく、ソムリエが常駐し、ワインや兵庫の日本酒など豊富にそろえている。週末にはラウンジをバーとして営業するほどの充実ぶりだ。

 運動面については周辺をウォーキングすることで睡眠の質を高めてもらうとしている。

 湯村温泉は源泉温度98度と日本一の高温を誇ることから、「御宿コトブキ」の温泉では、眠りが深くなるよう40度に調整している。シャンプーやシャワーヘッド、ドライヤーにもこだわりをみせる。



快眠セラピストによるマッサージのイメージ。眠ってしまう宿泊者もいるそう




 さらに、廊下や室内は、宿泊者に目や脳を休めてもらうため、日中も照明を100Hz以下と暗めに設定し、休息するための設えを徹底している。

 客室は「藤紫」「市松」など歳時記の色彩をテーマに、スイート、ジュニアスイート、ツイン、和室から成る。ターゲット層は50代〜70代の健康意識の高い大人とし、中学生未満の宿泊は不可。宿泊費は2万5000円だがスタンダードな金額だが、カニなどシーズンで変動する。宿泊者の属性は50〜60代の夫婦や母と娘、女子などで、大阪や兵庫県からが8割を占めている。

 コロナ禍でのオープンで当初は苦戦したが、リピーターや口コミで広がり、経済産業省や観光庁、内閣府などの後援で実施された「温泉宿・ホテル総選挙2023」において「おこもり」部門全国1位を獲得した。鞆会長は「医療・介護にとどまらず、食や睡眠まで健康を総合的にサポートする企業を目指したい」と意気込んでいた。

 尚、1月1日に発生した能登半島地震の影響は特になく、通常営業している。



御宿コトブキWEBサイト https://oyadokotobuki.com/

オルソグループWEBサイト https://ortho-g.co.jp/



ライター:加藤有里子
okiruy:https://okiruy.com/