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古民家を保養所として法人向けに提供~サブスクで~



デザインクラブ(神戸市)小川千賀子社長



兵庫県・神河町の施設「星と風の庭」



 インテリアデザインを手掛けるデザインクラブ(神戸市中央区)は古民家一棟を保養所として定額で提供する新サービス「カクレバ」をこのほど開始した。

 企業に会員になってもらい、同社が所有、運営する宿泊施設を、サブスクリプションで使用してもらおうというもの。現在、兵庫県中北部に位置する神河町や生野町、岐阜県高山市と、人口減や過疎地域に開設予定を含めて9施設構えている。



屋根裏を会員専用会議室として使用できるように改修した


 これまで一般向けに余暇を楽しむ宿泊所として提供していたが、経営者と意見交換をする中で「従業員がすぐ辞めてしまう」「社内コミュニケーションが取りづらい」など多くの問題を抱えることに着目。会員制にして、社員研修や個人利用など福利厚生としてもらおうと構想した。小川千賀子社長は「コロナ禍で、働き方が多様化したことで、社内の意思伝達不足が浮き彫りになった企業が多いことに気付いた。当社でも社員全員で『カクレバ』を利用したところ、オフィスでの会議とは異なり、深掘りした話や個々の想いなどを話し合い、結束力を高めることができた」と話す。



同社で社内研修をしたところ、夜通し暑い議論が交わされ結束力が高まったという


皆で料理できるよう、設えたキッチン


 春にオープンした神河町の施設「星と風の庭」は空き家となっていた築50年の住宅。4LDKの間取りはそのまま使用し、16人宿泊可能とした。改修工事は水回り設備の入れ替えや、屋根裏を会員専用の会議室として使用できるようにしたという。

 本業は大手ホテルチェーンやマンションのデザインを行う同社。今から7年前、小川社長が地方の衰退を目の当たりにしたことが空き家利活用を始めたきっかけだという。「高山に行った際、売れない古家があった。解体して更地にするのではなく、再生してみようと購入し、宿泊施設として運営を開始したことが始まり」と当時を振り返る



地域経済の活性化にも寄与



 一方、地域経済への貢献も意識している同社では、会員であるユーザーの利用は素泊まりのみとしている。「近隣の飲食店から仕出しをしたり、地域の店舗から食材を購入したりすることで、町の活性化につなげたい」(小川社長)。さらに清掃、リネンの取り替えなどは地元の住民に委託しているという。費用は、入会金10万円(税別)、月会費5万円(税別)で年間12泊利用可能。小川社長は「日常に『非日常』を取り入れることで、職場のコミュニケーションを深められる施設を目指している。過疎の地方と都会の組織を同時に活性化させたい」と意気込んでいた。





ライター:加藤有里子
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