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家主自らポータル掲載できるサービス提供



SIRE(東京都目黒区)木津雄二社長




 不動産仲介、システム開発を行うSIRE(サイア、:東京都目黒区)は賃貸住宅のオーナーが自らポータルサイトに物件を掲載できるサービス『ECHOES(エコーズ)』を提供している。
 これまで「SUUMO(スーモ)」「LIFULL homes」「at home」などポータルサイトへの掲載は、宅建業者である不動産会社しかできず、入稿内容も不動産会社任せとなっていた。そこで、同社が一般媒介会社となり、ポータルの広告枠を買い取ることで、オーナー自身で掲載できる仕組みを実現させた。
 オーナーは自分自身で、物件の概要やキャッチコピーを作成し、写真の入稿を行う。掲載内容について、景品表示法や不動産公正取引協議会広告規定に反していないか、同社がチェックするという。また、オーナーに管理画面が提供されるため、閲覧数や問い合わせ件数、内覧状況を把握することができる。内見したものの成約しなかった場合には、ユーザーから理由をヒアリングしてオーナーに伝えている。木津雄二社長は「『募集しているのに物件がポータルに掲載されていない』『反響が分からない』といった悩みを多く聞いていた。『エコーズ』は自ら情報編集し、掲載したいタイミングで行える」と話す。



内見案内は提携先の不動産会社が対応







 サービスの流れは自主管理と管理委託の場合で異なる。
 自主管理の場合、「エコーズ」経由で入った問い合わせ対応や内覧の予約を同社が行う。内見案内は、同社と提携する不動産会社が対応。成約の際は、提携会社が重要事項説明書や鍵の引き渡し業務を担う。また、広告料や仲介手数料があるときは、提携会社が受け取る。同社は元付け業務として、契約書の作成や、家賃保証や火災保険など付帯サービスの提供を行う。利用会社の指定があればオーナーは指定することができる。
 管理委託の場合も、「エコーズ」経由で入った問い合わせ対応や内覧の予約を同社が行うところまでは自主管理のケースと同じだが、提携会社が管理会社に確認の上、内見案内をする。成約の際は提携会社が管理会社様に申込を入れる流れ。同社と提携が必要になるが、管理会社を内見担当に指定すれば、管理会社が自社で送客を行うことも可能だ。



6000人のオーナーが利用し、掲載物件は9000戸超



 木津社長はリクルート住まいカンパニー(同千代田区)出身。「家主が主役になれるサービスを提供したい」その思いで、新事業を社内提案し、「エコーズ」の前身であるサービスが誕生した。木津社長は全国にある「家主の会」に訪問するなど周知活動を本格化させていた。そんな矢先のこと、大企業ならではの「事業白紙」が決定してしまったのだ。「社の決定に抗えないし、必要とされているサービスを社で提供しないと決まったのならば、独立して自分自身でやってみようと会社を立ち上げた」と当時を振り返る木津社長。
 2020年12月サービスを開始し、現在、6000人のオーナーの利用があり掲載物件は9000室に及ぶ。中でもリノベした築古住宅や区分マンションの掲載が多いという。内容や物件にもよるが、「エコーズ」を利用して成約する割合は1カ月以内で50%、2カ月以内で80%という結果が出ている。「まだまだだが、手ごたえを感じている。賃貸経営に積極的な不動産オーナーの必須サービスになれるよう努めたい」(木津社長)。
 利用料金は1部屋あたり月額3300円(税込み)。自主管理で成約に至った場合、3万3000円(税込み)。写真の質の重要性について熟知している同社では、オプションで間取り図作成や写真撮影にも対応している。



ライター:加藤有里子
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