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コラム詳細

110室中、90室空室の学生寮シェアハウスとして運営開始



シェアハウスの管理運営を手掛ける
アドミリ(兵庫県尼崎市)貴史社長



ベッドや机が完備されているため、ほぼ手ぶらで入居できる



90室が空室となった元学生寮



 シェアハウスの運営、管理を行うアドミリ(兵庫県尼崎市)は、所有者からの依頼を受け、部屋数が110室ある中、90室が空室となっている学生寮をシェアハウスに転用した。5月1日から「コミューズ新大阪」の名称で運営を開始している。

 物件は築35年、鉄骨造の9階建。1階から2階はテナントが入店し、3階〜9階が留学生向け学生寮となっていた。所有者は、中国人が多く住んでいて稼働率が良かったことから、2019年に購入した。siしかし、直後に新型コロナウイルスが発生し、入居者は相次いで帰国した。水際対策で、留学予定者の入国制限も実施されていたため、110室中20室しか借り手がいない状況に陥り、空室率は80%超となった。

 学生寮以外の活用法として、本来は賃貸住宅への転用が望ましい。しかしトイレ、風呂が共用である上、室内にキッチンがなく、洗濯機も設置できないため断念せざるを得なかった。また、グループホームや民泊などへ転用するには多額な改修費が必要となり、手の付けようがなかった。そんな中、シェアハウス運営を担うアドミリに話が持ち込まれたという。同社の菊竹貴史社長は「オーナーさんの状況を聞いて、なんとかお役立ちできることはしなければならないと思った。当社は長年シェアハウス運営を手掛けているので、ノウハウを生かして満室にできると確信している」と話す。

 物件のメリットはいくつかある。まず、立地が良いことだ。阪急京都本線・千里線「淡路駅」から徒歩8分に位置し、JR京都線「新大阪駅」までも徒歩圏内とアクセスが良いため集客が見込めることだ。次に、管理栄養士監修による栄養バランスを考えた食事を提供しているため、食費と手間を減らすことができることだ。「栄養価だけではなく、スタッフが一生懸命作ってくれて味もとてもおいしい。『食事なしにしてしまえばいいのでは』という声もあったが、ここは 『食事提供あってなんぼ』と思った」(菊竹社長)。また、家具など設備がそろっているので、手ぶら同然で住むことができることだ。さらに、同社が面談を行うため、家賃保証の利用はしないため、すばやく入居できることが早期満室の決め手となる。



賃貸住宅とマンスリーのすき間需要狙う



殺風景だったリビング



テーブルクロスを掛けたりダウンライトを設置したりするだけでずいぶん見栄えが良くなった



入居者同士、雑談できるように、しつらえた。これにより雰囲気が変わって居心地の良い空間に生まれ変わった



 同社がまず手を加えたのは、殺風景だった食堂だ。ダウンライトを設置したり、壁をDIYで塗装したり、テーブルクロスを掛けたりと見栄えを整えた。入居者同士が団らんできるように、ソファーやテレビを配置するなどしてリビングダイニングルームとしての機能をもたせた。実際、改修してから、ここで勉強したり音楽を聴いたりする入居者が増えたという。菊竹社長は「これまで建物の改修が行われていなかったので、指摘箇所を挙げだしたらキリがない。まずは必要最小限、補修を行って入居率が上がったら手を入れていきたい」と意気込む。

 家賃は選べる4タイプを用意した。朝夕食付きプランは5万5000円。夕食付きは5万円。朝食付きは4万7000円。食事無しは4万2000円。いずれも月額。

 運営してから間もないが、6月末時点で短期留学生を含めて新たに18人が入居する予定だ。「ワーキングホリデーが再開し、海外からの需要が見込まれる。大阪では万博やIRが予定されているので、従業員など短期で借りる人も増えてくるだろう。賃貸住宅とマンスリー利用者とは異なるニーズを拾っていきたい」と意気込む。

 同社、アドミリは2008年からシェアハウス事業を開始。「コミューズ新大阪」以外に、19棟350室を運営している。



アドミリWEBサイト:大阪・神戸でシェアハウスを探すなら「KIKUYA-きくや」 (guesthouse-kikuya.com)



ライター:加藤有里子
okiruy:https://okiruy.com/