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民法基本体制見直しで、土地国庫帰属法創設



手放したい土地のイメージ



 法務省は所有者不明土地の発生予防および、利活用の側面から、民事基本法制の見直しを図っている。

 その一環で、4月27日「相続土地国庫帰属法」が創設された。同法は、相続などで土地を取得したが、手放したい相続人を対象として法務大臣の承認を受けてその土地を手放して国に帰属させる制度。

 土地の要件として、建物や工作物等がある、土壌汚染や埋設物がある、 危険な崖がある、 権利関係に争いがある、 担保権等が設定されている、通路など他人によって使用される土地は不可としている。



相続で取得土地、手放したい人対象



注1:都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域。 注2:面積の単純比例ではなく、面積が大きくなるにつれて1㎡当たりの負担金額は低くなる。
※法務省民事局の資料から引用


同法は利活用促進となるのか



 一方、審査が承認された場合、負担金が必要となり、10年分の土地管理費相当額の納付となる。例えば、市街化区域、用途地域が指定されている地域(一部の市街地)の宅地では、100平米で約55万円。先の地域および農用地区域の田畑は1000平米で約110万円。森林は3000平米で約30万円。それ以外は面積に関わらず20万円。

 さらに令和6年には相続登記の申請が義務化される。政府は法律を段階的に見直し、所有者不明土地を改善させたい考えだ。

 法務局によると、6月2日時点での相談件数は約8000件。問い合わせ内容は「書類を作ったので見てほしい」「見たことも行ったこともない土地を処分したい」などさまざまだという。承認されたケースはまだないが、審査中は370件に及ぶ。

 厳しい要件の中、果たして同制度は空き家問題の解決策となるのか。今後の動きに着目したい。



ライター:加藤有里子
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