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鉄道大手、完全無人のドッグスパオープン


完全無人で運営している
「K・DogSpa」の外観


遊休地を活用する目新しいサービスを生み出した大手鉄道会社がある。近鉄不動産(大阪市)だ。

同社はセルフ式ドッグスパ「K・DogSpa(ケイ・ドッグスパ)」を11月22日に3箇所同時オープンした。今回は取材した「河内小阪店」についてお伝えする。

場所は、近畿日本鉄道奈良線「河内小阪」駅(大阪府東大阪市)から徒歩1分。同社が運営するコインパーキングの一部を活用した。



犬が入浴する様子。
※マイクロバブルバスのイメージ写真です。実際の施設ではございませんので、内装や配置が異なります


建物は一般的な物置をカスタマイズしたもので、1ユニット2室としている。完全無人で、飼い主が愛犬を温浴、洗浄することができる。汚れが落ちやすいマイクロバブル方式のバスタブ・シャワーや、昇降式ドライヤー台、一般的なドライヤーなどを完備している。

1回の予約で利用できる時間は50分。入浴から清掃までする必要があり、50分経過すると空調、照明以外の機械は制御される。利用料金は50分3000円。2枠を取って100分利用することも可能だ。タオルやシャンプー、ブラシなどは持参する必要がある。

無人のため、Webサイトでの予約や事前決済、入退館などすべてシステムで管理している。また1日1回の清掃メンテナンスやコールセンター、緊急駆け付けサービスなどを導入している。



手前から左から時計回りに、高さが調整可能なドライヤーと、マイクロバス機器


コインパーキングの一部を活用



同社がサービスを考案したきっかけは、コロナ禍でペット需要が増加したという情報を聞きつけたことだ。企画したソリューション事業部では地主向けに土地活用の提案をしていた。その中で狭小地などでも展開できるビジネスはないかと考えていたという。山西一善部長は「ドッグ向けセルフスパは、獣医が併設していたりトリマーが店舗横で運営していたりするケースはあったが、完全無人のスタイルはほとんど見当たらなかった。そのため、商機があると感じた」と話す。

社内で案が通り、調査を開始。「サロンの費用が高い」「自宅の浴室で洗犬するには、かがまなければならず、腰が痛い」「排水溝に毛がたまり、処理が大変」などの声を聞き、できる限り悩みを解決できる施設にしようと試みた。事業の実施に際しては、獣医師が監修している。



狭小地などの土地活用提案も視野に



当店以外の拠点は、河内花園駅前(同)と学研奈良登美ヶ丘駅前(奈良県生駒市)。このほか新たに2店舗、開業が決まっており、23年3月までに10店舗開設を目指す。山西部長は「狭小地でも設置できるため、検証を重ねてマニュアル化できたら、土地活用で提案しエリアを拡大したい」と意気込んでいた。

同社ではユニークな方法でまちづくりや沿線の活性化に取り組んでいる。今回取材した「河内小阪店」のあるコインパーキングでは、「まちおこし企画」として今年の4月から駐車場の一部を活用して、地元の事業者がキッチンカー出店する取り組みが実施されている。取材当日はクレープ店が出展していた。



ライター:加藤有里子