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鉄道会社が空き室の0円リノベ提供

 前回に続いて2回目は鉄道会社の遊休不動産の活用について紹介する。
 大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro:大阪市)は同社の沿線地域活性化のため、
賃貸物件をオーナーから借り上げ、0円でリノベーションする取り組みを行っている。

沿線活性化で遊休不動産の活用促進


 オーナーから空き家や空き店舗などを同社が借り上げ、転貸するというもので契約期間は10年を想定。オーナーは家賃の最大で2~3割受け取れるというスキームだ。

 2018年4月に民営化した同社では乗降客数の減少を防止し、地域の価値を向上させる一環として、周辺エリアの有休不動産の活用に取り組む。第一弾は、御堂筋線「西田辺」「長居」「あびこ」駅を対象としている。初事例は築50年、3階建てRCマンションの1室。同社と近畿大学建築学部が連携し、学生がプランを企画。玄関前に趣味やDIY、小商いなどができるスペースを設けるため、部屋の中心部に可動式の間仕切りを設置したり、水回りの入れ替えをしたりなどのリノベーション工事を行った。現在、DIYを趣味にしている男性が入居しているという。

50年前とほぼ同様の間取りの改修前の様子
改修後のイメージ

冊子やインスタでまちの魅力発信も


 同社では、3駅ごとに店舗情報を掲載した冊子の発行やインスタグラムを用いて情報を発信している。さらに取材や編集は同社が行うのではなく、地元中心のライターなどが担当し制作しているという。同社の担当は「我々が中心になると業務的になってしまうところを彼らが携わることでユニークな紹介ができていると感じる。また、大手チェーン店や商業施設などを掲載したり誘致したりするのではなく、あくまでその地で商いを行っている飲食店、店舗などを掲載しまちの魅力を伝えている」と話す。
 オーナーから借り上げ、0円でリノベするスキームはこれまでリフォーム会社や不動産会社が手掛けることがあったが、鉄道会社が行うとはなかなか珍しい。Osaka Metroでは来年3月までに100戸の活用を目指し取り組んでいくという。大いに期待したい。

ライター:加藤有里子