中古戸建てを1棟貸しのコスプレスタジオ「コト空間ESPスタジオ」として運営している髙橋オーナー。
今から3年前、土地と建物を購入。コスプレスタジオ付いたシェアハウスというユニークな運営を行っていた。ところが多数のコスプレイヤーなどから、スタジオを複数設けて欲しいと要望を受け、実証実験とともに1棟丸ごとコスプレスタジオに改修すると決断したという。
髙橋オーナーは「京都市内にニーズがあるかどうか独自に市場をリサーチし、日本人外国人ともに需要はあると見込んだ」と話す。
場所は京都市営地下鉄東西線「小野」駅から徒歩7分。立地が良いとは言い難い住宅地に位置している。建物は3階建ての全5室。
舞台芸術家監修 藤の花に囲まれた部屋や廃墟をイメージした階段設置
スタジオのデザインは、舞台芸術の制作を手掛ける竹内良亮さん(※前回のコラム参照)が監修。部屋それぞれにユニークなコンセプト設けた。
1部屋は「ジョーカー」と題した、真っ白な壁面と空間に包まれた部屋になっており、お嬢様になりきれるような雰囲気を再現している。
2部屋目「クラブ」は室内に季節に合わせて桜、藤、彼岸花を設置。花に囲まれた空間に仕上げている。
3部屋目の「ダイヤモンド」には、羽のようなオブジェを設置。翼をまとっているかのような写真を撮影することができる。
最上階の3階には「スペード」と「ハート」の2部屋を設けている。
前者は一見どこにでもある部屋に見受けられるが、BL(ボーイズラブ)ファンに受けるように、男性の部屋のようにしつらえたという。後者はこれまでのデザインと異なり、黒色と赤色で構成された和の空間となっている。
これら5つの部屋以外の、階段にも工夫がなされている。ホラー映画に出てきそうな廃墟あふれる作りに仕上げているのだ。
徹底したデザインと気配りで演奏者やマタニティフォトの利用者も
スタジオだけに注力しているわけではない。コスプレイヤーが本格的に撮影できるよう、照明器具や撮影機材、レフ板なども常備。花びらや骨董品など、などちょっとした撮影に必要な小物も用意している徹底ぶりだ。
このほか、小腹が空いた際や着替えなどに対応できるよう、キッチンやシャワールーム、洗濯機なども設置している。髙橋オーナーは「コスプレイヤーに寄り添ったサービスを徹底した。最近はユーチューバーや薩摩琵琶の演奏者、マタニティーなどさまざまな人に色々な用途で使ってもらっている」と話す。
「コト空間ESPスタジオ」の稼働率は70%。1日貸切で、平日は1万1000円、土日祝は1万9800円(ともに税込み)で運営しており、21年7月の売り上げは28万円だったという。気になる初期費用は土地建物が1000万円。防水工事など改修費に500万円だったので、利回りが20%という計算になる。入退室は遠隔で行い、管理や運営はオーナー自ら行っているという。
「立地が良くなくてもユニークな貸し方が奏功するのだろう。今後も動向を見ながら、さまざまな貸し方に挑戦したい」(髙橋オーナー)。
ライター:加藤有里子
京都の一棟貸コスプレスタジオ
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