GTーJAPAN(神戸市)
伊崎臣俊 社長
「フリルレタス、サニーレタス」を栽培した様子
組み立てたときの様子。キャスター付きで簡単に運ぶことができる
LED照明の販売を手掛けるGT-JAPAN(神戸市北区)は、空室で野菜栽培ができるユニークな商材「ネオテラス」を取り扱っている。昨年から販売を行い、これまで、居酒屋やバーなどの飲食店や大学に導入している。
同製品は特許を取得した水耕栽培装置。LED照明の光を用いて野菜を栽培を行い、肥料と空気を対流させる仕組みによって栽培できるというもの。育つ野菜は大半がレタス。キットに付随する肥料には窒素やリン酸などさまざまな微量要素を適量に含んでいるため、甘味のあるレタスが育つという。
製品の特長は4つある。1つ目は、DIYで施工できることだ。5段の棚型のキットになっており、1台あたり、1〜2時間程度で組み立てられる。部材の接着やLEDの接続工事も必要ない。
2つ目は、容易に定植ができることだ。パネルに株穴があるため、培地をそこにセットするのみで、ポットは不要。また、緻密な設計により、苗が穴に落ち込むことはない。
3つ目は、栽培槽とパネルに凹凸がないため、藻や汚れが付きにくく、スポンジで拭くだけで汚れが取れる。同社の検証によると、掃除に要する時間が他製品と比べて7分の1だという。伊崎臣俊社長は「従来の製品では必要だったカップの掃除や、収穫後に根がからんだカップの取り外しの手間が掛からない」と話す。
4つめは消費電力が少なく栽培できることだ。植物育成に効率的な電力量のバランスを集約することで低コストで質の良い野菜を生産できる。
導入のハードル下げ、需要獲得目指す
「ミニトマト」も栽培することができる
これまで水耕栽培はコンビニや大型スーパーなどが工場で大量生産する大型装置しか市場になく費用が膨大にかかるため、企業においても導入するハードルが高かった。伊崎社長は手軽に試行できる商品を知ってもらおうと同製品の取り扱いに着目。「効率が悪くデータが取りにくい土耕栽培と比べて、水耕栽培は天候に左右されにくい上、データも取れる。しかし、中小企業が新事業で取り組んだり、空きスペースを活用したりする製品が存在しなかった。そこで、簡単に実験や実証して知ってもらおうと開発した」(伊崎社長)。
1台あたりの金額は59万8000円(税別)。栽培株数は最大200株。電圧および消費電力はAC100V。LEDは360W。ポンプは50Hzでは32.0w、50Hzでは38.5w。72㎡の広さの場合、掛かる費用は約990万円(15台設置で算出。LED込み、初回の肥料を含む)。通販サイトから購入可能。伊崎社長は「まずは商品の周知をしていき、ビルの空きテナントや、商業施設の空きスペースなどさまざまな場所で導入してもらい、入居者サービスや福利厚生、販売など多様な活用をしてもらいたい」と述べた。
伊崎社長は電機メーカーに長年勤めた後、LED照明を取り扱う同社を設立した。事業を展開する中で、農業の課題を水耕栽培で解決できることに着眼し、比較的導入のハードルが低い活用を考案した。同製品のほか、屋上など野外で野菜を育てる商材も取り扱っている。
ライター:加藤有里子
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