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コラム
COLUMN

コラム詳細

分譲オフィスビルプロデュースをコンサルティング



KTPコーポレーション(京都市下京区)
宮城不二男社長

京都のど真ん中に位置する
「オフィス-ワン四条烏丸ビル」



 不動産売買の仲介、管理を手掛けるKTPコーポレーション(京都市下京区)。同社は京都の一等地で、京都初の分譲オフィスビル「オフィス-ワン四条烏丸ビル」を企画・販売したノウハウを全国の地方都市に広げようと、区分オフィスビルプロデュースのコンサルティング事業を行っている。

 ターゲットは、建て替えや新築を検討しているが、金融機関からの借り入れが難しかったり、相続税を払う際に建物全部を売却しなければならなかったりする地方都心部の地主。

 ビル1棟を保有している場合、相続が発生すると相続税の支払いや、相続者が複数いる場合は売却などして相続人への分配が必要になってくる。区分所有にすることで、区分所有した部屋の支払税額分のみ売却して現金化できるため、ビルを継続して所有できるなどのメリットがある。



販売から16年経った今も、再販待ちの投資家も



「オフィス-ワン四条烏丸ビル」
エントランスの様子



パーテーションを用いて2つの部屋に分けて貸し出したり使用したりすることができるように、あらかじめ設計している



 一方、個人投資家や中小企業は、都心部においてオフィスビルを所有したくても資金的局面から断念せざるを得なかった。区分オフィスにすることで、所有が可能となり年々需要が増加している。宮城不二男社長は「サラリーマンの投資はワンルームマンションが主流だが、築年数が経つにつれ、賃料下落や設備の交換などが発生する。テナントであれば、住居と比べて入居期間が長く、維持費も低くなるため利回りが高くなる。立地は重要視しなければならないが、区分所有オフィスは有効な資産運用だ」と話す。

 同社が手掛けた区分オフィス「オフィス-ワン四条烏丸ビル」は2007年に竣工。場所は京都市営地下鉄烏丸線 「四条駅」、阪急電鉄京都線「烏丸駅」から徒歩3分の京都の中心地に位置する。区分戸数全47室で、当時の販売価格は1000万円〜1億8000万円。中心価格帯は2000万円台だった。個人投資家から企業まで幅広い層が購入し、完成から16年経った現在も、売却待ちの投資家がいるという。間取りは、景気に影響されにくいように25㎡ほどにしたり、パーテーションを用いて13㎡ほどの狭小にしたりできるように設計している。

 近年、1棟賃貸オフィスビルを細分化して区分販売する事業者もいるが、同社では新築のみとしている。「賃貸住宅と分譲マンションで建設時の材質や造りが異なるように、オフィスも設計段階から鑑みなければならない。そのため、既存物件ではなく、新築からの立案としている」(宮城不二男社長)。



近隣の中規模都市から展開目指す



 地主へ提案するビル形態は次の3つ。 
 1つめは、地主が建築資金を調達してから自ら事業主体となる「土地所有者単独事業方式」。相続時を見据えて、建物は区分所有で登記する。必要であれば区分した部屋を売却し、借り入れした建設資金の返済を行うことも可能だ。

 2つめは、土地は地主が提供し、建設資金は事業会社が負担する「単独地主等価交換方式」。地主は等価交換で建物の一部を取得。賃貸で収益を得る。事業会社は取得した部屋を自社使用もしくは、分譲する。

 3つめは、土地は地主全員が提供し、建設資金は事業会社が負担する「複数地主等価交換方式」。「オフィス-ワン四条烏丸ビル」では、1つめの「土地所有者単独事業方式」が採用された。

 ビル形態が決定したら建設に移り、同社はテナント募集や販売を着工中に開始する。竣工後はビル管理なども代行する。コロナの影響があり、コンサルティング事例はこれからだが、近隣の中規模都市から展開を開始したい考えだ。宮城社長は「ビルの売買は基本的に1棟単位で取り引きされ、区分売買があっても大型ビルに限った話だ。中小規模の区分所有オフィスビルを普及させて地域貢献したい」と熱く話した。



ライター:加藤有里子
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