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全国の空き家過去最多の900万戸に~5年前から51万戸増加~



総務省は、令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計結果を発表した。 
空き家は900万戸となり、2018年と比較して、51万戸の増加で過去最多となった。

総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」より引用


 総住宅数に占める空き家の割合は13.8%と、前回の調査から0.2ポイント上昇し、過去最高となった。空き家数は増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍。

 900万戸の空き家のうち、賃貸用の空き家は443万戸で、前回の調査に比べて10万戸増加した。空き家率を都道府県別にみると、和歌山県、徳島県が21.2%と最も高く、次いで山梨県が20.5%となっている。一方、空き家率が低かったのは、沖縄県の9.3%、つづいて埼玉県が9.4%、神奈川県が9.8%。全国平均は13.8%で、前回の調査より0.3ポイント上昇した。



総住戸数も増え続け、過去最多更新



 一方、総住宅数は6502万戸となり、こちらも過去最多となった。前回の調査(2018年)と比べて4.2%の増加で、これまで一貫して増え続けている。都道府県別にみると、東京都が820万戸、次いで大阪府が493万戸となった。ドリーム家主倶楽部(兵庫県伊丹市)の代表で、NPO法人空き家相談センター(宝塚市)の相談員を務める加藤薫氏は、「人口減、家余りは分かっているのに、新築へ融資を優遇するという国の施策に問題があるが、抜本的な見直しが図られることはないだろう」と指摘する。



空き家のイメージ


 社会問題ともいえる空き家について、国は法整備を行っている。2015年5月に施行された「空家対策特別措置法」は、倒壊の危険性が高く、近隣に悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」とし、行政による指導や勧告、解体など強制執行が行えるようになった。しかし、特定空家になってからの対応では限界があることから、2023年12月に改正。放置しておくと「特定空家」になるおそれのある空き家を、行政が「管理不全空家」として認定し、所有者等へ指導できるよう措置が強化された。



「空家対策特別措置法」、「管理不全空家」および「特定空家」の流れ
政府広報オンラインより引用 https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html


 空き家の活用方法として、カフェにしたり、民泊にしたり、戸建て賃貸住宅にしたりしているケースはあるが、ほんの一部だ。前述の加藤氏は、「実需が中心だが、空き家ローンを提供している銀行が増加したり、二拠点生活をする流れもあったりと徐々に空き家対策が見受けられる」と話す。

 空き家は、権利関係の複雑化や認知症で売りたくても売れないケース、売れる見込みがないケースなど、さまざまな問題を秘め一筋縄ではいかないが、法改正や終活により徐々に進むことを期待したい。



令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf



 ドリーム家主俱楽部WEBサイト http://e-hiraku.com/dream.yanushi/

NPO法人空き家相談センターWEBサイト http://hyogo-akiya-soudan.com/site/



ライター:加藤有里子
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