スマートロックや置き配サービスを行うライナフ(東京都文京区)は、三井住友海上火災保険(同千代田区)および同社の100 %子会社、三井住友海上エイジェンシー・サービス(同)と「置き配の盗難リスク補償」提供の協業を、10月24日開始した。
ECサイトを通じて購入した物品すべてが対象
「置き配」盗難保険は、「動産総合保険 商品付帯契約」と題した運送会社向けの保険。対象は、「ECサイトを通じて購入した置き配をした物品」すべて。注文者の指示により置き配後、受取人が荷物を回収する前に盗難事故に遭った際、受取人に対して購入金額の補償を行う。警察へ被害届を提出することが支払いの条件。ライナフの滝沢潔社長は「日用品での利用にとどまりがちな置き配利用が、当保険により普及が見込まれ、再配達、労働時間解決に寄与できる」と意気込む。
契約は各運送会社ごとにオーダーメイドで設計されているが、標準的な支払い限度額は1配送あたり1万円。保険料は年間の置き配利用4000-5000件あたり保険料は10万円程度(年間)。三井住友海上火災保険 公務第二部町田 雄一課長は「当保険は賠償責任保険ではなく、盗難を補償するもの。賠償は1年間の置き配数の見込値で保険料を算出する」と話す。
ライナフが代理店になるわけではなく、紹介を行うのみ。三井住友会場火災保険のグループ、三井住友海上キャピタル(同中央区)が同社に出資している関係から、ライナフの「スマート置き配」と保険の親和性が高く、社会課題解決を目指す両者の思惑が一致した流れだ。
置き配の現状について、ライナフが行ったアンケート調査では「置き配導入対応後、置き配を利用したことがあるか」について、約6割が「利用したことがある」と回答している。「利用したことがない」と答えた回答者の理由としては、「盗難」「紛失」の不安を懸念する声が寄せられていることが判明した。
一方、セイノーHDグループ会社、LOCCOによるデータによると、2021年1月から2022年3月の期間において、実際の「盗難」や「紛失」による盗難保険の適用率は0.0008%と、10万件に1件未満であることが分かった。
では、なぜ置き配サービスが加速しないのか。荷主側は盗難の補償補填を敬遠し、物流会社は荷主側が置き配利用を可としない限り対応できないのが現状だ。「盗難の際にどこが補償するのかが焦点となり、進んでいなかった。置き配盗難保険はこの課題を解決することができる。置き配利用者にポイント付与するなど国の後押しも見られる。当社はラストワンマイルの課題解決策として提供を広げていく」と滝沢社長は意気込んだ。
「スマート置き配」は、認証された配達員のみがオートロック付きマンションに入館できる仕組みになっており、エントランスの解錠履歴は全て記録される。オーナー、管理会社のイニシャル・ランキングコスト、工事費用などは全て無料。
ライター:加藤有里子
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