Gold Key Co.,Ltd

コラム
COLUMN

コラム詳細

文化住宅の一階を、店舗に再生~オーナーが改修費用の一部負担~



before 
after 1階の階段を撤去し、スロープの入り口を設けた


 大阪市内に33万坪の土地などを所有する千島土地(大阪市住之江区)は、今春から取り組んでいた文化住宅を入居者とともにリノベーションするプロジェクト(※1)が7月27日、完工した。

 同物件「NAGAYArt(ナガヤアート)」は築53年、木造瓦葺の2階建て。1階は「ネオカスタム賃貸」と題してテナント入居者を募集。改修前に、プランニングから参加してもらい、改修費用の一部を同社が負担することで開業のハードルを下げ、負担を軽減しようというユニークな取り組みを行った。



before

after
手前はチャイ工房兼カフェ『Talk with_』が、奥にはサンドイッチ専門店『natural sand』が入店した


 募集したところ、テナント部分4区画中、2区画はチャイ工房兼カフェ『Talk with_(トークウィズ)』が借りることとなった。隣の1区画はサンドイッチ専門店『natural sand(ナチュラルサンド)』が入居した。残りの1区画は募集中だという。担当の福元貴美子氏は「今のところ募集中の区画は独立店舗として区切っているが、要望によっては共用部も使用できるようにつなげて提供する予定」と話す。

 2階部分は、改修前と同じく4戸の賃貸住宅として、一新。断熱材を多く使用することで断熱効果のみならず防音効果も発揮させ、より快適な住環境を実現している。広さ確保のため、洗面台は設置せず、代わりに大きめのシンクを採用したり浴室をシャワーブースにしたりするなどした。また、天井を解体した際に状態の良い梁が姿を見せたことから、天井高を上げたことによってできた空間にロフトを設けた。間取りはいずれも1Kの29.66㎡。賃料は6万5000円~6万8000円。共益費は3000円とした。「周辺にペット可物件がほとんどなく、入居者の幅を広げ、賃料アップを目指したいことからペット可にしている」(福元氏)。



改修前の2階全体

よく見ると前の名残があることに気が付く

シャワーブースやロフトを設け、広く使えるようにデザインした



 「NAGAYArt」はOsaka Metro 四つ橋線「北加賀屋」駅から徒歩5分に立つ。北加賀屋は、かつては造船業で栄えたが、造船所の移転や高齢化により空き家が増加している。このエリアの3分の2の土地を所有する同社は、同プロジェクトを始めとした街の活性化に取り組み、アーティストなども誘致している。物件名は、「長屋」と「アート」を掛けあわせたネーミングにし、屋根と人をモチーフにしたロゴも作成している。「入居者と家主が互いに支え合うという意味も含んでいる。過去と現在の雰囲気が入り混じる北加賀屋の魅力を感じてもらいたい」(福元氏)



※1 前回(改修前)のコラムはこちら: https://goldkey.co.jp/2023/03/28/0328/

千島土地Webサイト:  https://www.chishimatochi.com



ライター:加藤有里子
okiruy:https://okiruy.com/