新大阪グランドビルの外観
築38年の古さを感じない
高級感のあるエントラス
テナントの搬入出用に、20分間は無料としている
大阪を中心に10棟のビル賃貸を手掛けるセントランド(大阪市)。同社は新大阪北側に高層ビルを建設した先駆者でもある。
会社の所在地、「新大阪グランドビル」は今から38年前の1984年に竣工した。当時、行政の総合計画で大阪市営地下鉄(現:大阪市高速電気軌道)御堂筋線に接続する北大阪急行線の延伸が図られた。同社では新大阪駅北側の開発が進むと見込み、御堂筋に面した土地を取得しビル建設に挑んだ。松田英幹マネージャーは「今でこそ、ビルやマンションがひしめき合っているが、当時は田畑と平屋ばかりだった。そんなエリアに当ビルがそびえたった」と話す。
屋上は傾斜を設けたパターゴルフ場に
パター、ボールを常備しているため、好きなときに利用できる
オフィス内の様子。重厚な二重窓によってで全く外の音が聞こえない
「新大阪グランドビル」はRC造、地下1階地上12階建て。設計から企画まで同社が行ったという。ビルの特長は大きく3つある。
1つめは屋上を有効活用するため、室外機は4階部分に格納。入居テナントがリフレッシュできるよう、パターゴルフ場にしていることだ。ただ単に設けただけではなく数種類の芝から選定したり、起伏を設けたりして実際のゴルフ場に近しい造りにしている。眺望は竣工から40年経った現在も良く、梅田の市街地から大阪国際空港(伊丹空港)、万博記念公園、生駒山系まで見渡すことができる。
2つめは、完全平面駐車場を2、3階部分に設けている点だ。天井高2.6m、全52車室。そのうち4車室をコインパーキングにすることで荷物の搬入出や、来客者が駐車できるようにした。
3つめは設計当初からオフィスの間取りを細かく区切れるようにしていることだ。最大56区画(56テナント)が賃貸できるようにしており、最小17坪からオフィスを構えることができる。「今では緩和されてきたが、100坪単位で区切っているビル運営会社が多く、大手企業しか入居できないケースが多い。当社では中小企業にハイグレードで都心にあるオフィスを提供するため、小規模な間取りから用意している」(松田マネージャー)。最大3区画の使用があるものの、ほとんどのテナントが1区画を賃貸している。
オフィス内は、航空機や車などの騒音を避けるため特注の二重窓を採用したり、通常より大きいドアを使用したりしている。新築当初から常に満室で、空きが出てもすぐに決まるという。賃料は新大阪界隈の相場に比べて1.5倍ほど。
そのほか、無料会議室や昼食や休憩に使用できるリフレッシュルーム、喫煙室なども構えている。また、ビルの顔であるエントランスホールには、天然大理石が採用されており、季節感を味わえるスクリーンや、水槽をオブジェとして飾られている。
その一方、照明のLED化や自主管理にするなどして、コスト管理を徹底している。松田マネージャーは「20年を超える長期入居のテナントも多く、テナント様にもっと良い環境を提供できるよう、現状に甘んずることなくできることを見つけて対応していきたい」と熱い意気込みで語った。
「新大阪グランドビル」 WEBサイト https://centland.jp/property/grand/
セントランド WEBサイト https://centland.jp/movie/
ライター:加藤有里子