5月18日、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が一部施行されることに伴い、宅建業法が改正される。
旧法で必要だった宅地建物取引士の押印が不要となり、重要事項説明書、契約締結時書面、媒介契約締結時書面など電磁的方法による交付が可能となるため、電子契約が全面解禁になるといえよう。これにより、印紙代、郵送代などのコストを抑えることができるほか、手間や管理も行いやすくなり業務効率化が図れるなどメリットが大きい。
■今回不要となった宅建士による押印
「重要事項説明書」
「宅地又は建物の売買・交換・賃貸契約締結後の交付書面への宅地建物取引士の押印」
■電子契約が可能になった書面
「重要事項説明書」
「媒介契約・代理契約締結時の交付書面」
「レインズ登録時の交付書面」
「売買・交換・賃貸契約締結時の交付書面(37条書面)」
これらを実施するにあたって国交省は、宅地建物取引業者などが「遵守すべき(必ずするべき)事項」、トラブル防止の観点から「留意すべき事項」をまとめたマニュアルを公表している。
例えば、宅建業者の書面交付先である相手方のIT環境を聞き取ることや、電子契約を受けることについて相手方への意向確認および承諾をしたうえで、電子書面の提供方法やExcel、PDFなどファイルへの記録方式を示すことなどが「遵守すべき事項」として挙げられている。(※詳細は国交省の「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル参照
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001479770.pdf)
不動産業界のIT化、急加速するか
2014年に「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」が設置され、国によるデジタル化への動きがスタートしてから8年。
コロナ禍の影響もあり、オンライン化への抵抗が薄れ推奨する動きになりDX化が一気に加速するか。今回の改正に加えて、土地や建物を固有の番号で特定する「不動産ID」のルールも策定されるなど、改革が進む不動産業界。今後の動向に注目したい。
ライター:加藤有里子