空き家活用の新スキーム、業務効率化アプリについて解説
リフォーム会社の和工房(愛知県半田市)とGoldKey Co.,Ltd(名古屋市)は12月20日、オーナーおよび管理会社向けにウェビナーを行った。セミナーは3部で構成されており、その様子を紹介する。
第1部は「家庭と社会を豊かに。空き家活用の革命的仕組み~ヤモタスの考案~」のテーマで和工房の松久保正義社長が登壇した。空き家の活用が求められる中、全体の3%ほどしか売却されていない実態に着目。空き家を貸したい所有者と投資家をマッチングし、同社が運用代行するサービス「ヤモタス」を生み出した。
「『実家を売りたくない』、『貸すといってもどうやっていいか分からない』といった所有者の思いと、空き家という社会問題を解消しつつ、収益化させられるモデルになるのではないかと考案した」(松久保社長)。
所有者はリフォーム費用の負担なしで一定の賃料収入を得る。一方、投資家は13年間、所有者から物件を定期借家契約で賃貸して実利回り13〜15%程度で運用益を得る。同社はその間に立ち、運用費の設定や改修、入居付けなど運用するというスキームだ。
例えば想定家賃が8万円で改装費280万円かかる場合、
2万1600円を所有者が受け取る賃料収入とし、運用者は差額の5万8400円の中から経費(管理費・AD・入退去修繕積立金・火災保険など)を捻出し、投下金額回収と利益を得るという。
第2部は、「今後、増加する空き家と有効活用について」をマンション・商業ビルなど約200戸所有する家主兼システム開発会社GoldKey Co.,Ltdの木全雅仁社長が講演した。
コロナ禍で地価動向を示す景気動向指数(DI)が住宅地では上昇した一方、商業地が軒並み減少したことに触れ、新しい貸し方の必要性について指南した。オフィスは大型から小型への移行が標準化したり、キッチンのみを間借りしデリバリーを行うゴーストキッチンが台頭したりしていることについて意見した。
また、同社が手掛けるテレワークブース「Massimo(マッシモ)」を紹介。
可動式で空きテナントや空室に簡単に設置できるとともに、IoTで無人管理できる魅力について解説した。
(※4月15日コラム参照 https://goldkey.co.jp/2021/04/15/001-2/)
アプリ導入で現地対応98%回避
第3部は、「マンション管理DXアプリの効果について」を第2部に引き続いて木全社長がプレゼンテーションした。IT投資が少なく、利用者の年齢層が高いためITリテラシーが低いと言われる不動産業界では、入退去の対応などに手間がかかり、入居者募集やオーナーへの提案に時間をさけていない問題を指摘。同社が手掛ける入居者向けアプリ「app-me! Cloud(アップミークラウド)」による効率化を提案した。
従来、管理会社が入居者と電話でやり取りしていた業務をアプリで行うというもの。契約書類や掲示板、連絡などはもちろんのこと、入居者の更新や駐車場の契約など電子更新が行えたり、解約の手続きに関する業者間連携や、解約用紙も自動で生成できたりする。木全社長は「しかし、管理会社の業務効率だけでは入居者はアプリをダウンロードしてくれず宝の持ち腐れとなる。そこで考えたのがアプリ内でのさまざまなサービスだ」と話す。
入居者はアプリをダウンロードすることで、漫画・雑誌の読み放題やpaypay(ペイペイ)のポイント付与、駆け付けや保険サービスを受けることができる。
結果、入居満足度が向上する上、管理会社にとって手間が掛かっていたクレーム対応などがアプリでできるようになったという。1000戸管理する管理会社では表1のように入居者の問い合わせに対して98%、現地に行く必要はなくなり、チャットだけのやり取りで苦情にならなくなったという。
「総合生活サポートIT企業として今後もさまざまな企業と連携することでコンテンツを拡充させていく。不動産DX新時代最先端のサービスを提供したい」と熱く語った。
ライター:加藤有里子
和工房「ヤモタス」
お問い合わせはこちらからhttps://esp-kyoto.com/