サービス誕生の裏に、愛犬の死が…。
献花をすると暦の花が表示され花が散る。画面の犬はWallBank橋本社長の愛犬
あなた(諸君)はペットを飼ったことがあり、失ったことがあるだろうか。
「ペット」…。その呼び方は犬、猫、モルモット、鳥、爬虫類、魚、その他の生き物に対して失礼かもしれない。しかし、ここでは「ペット」と呼ぶことにする。
システム開発会社WallBank(ウォールバンク)は、オンラインペット霊園サイト「memoriR(メモリアール)」の運営を3月15日、開始した。
SNS機能を付与しており、あらかじめ登録した者同士が交流を図ることができる。献花は、自分のペットのみならず、他のお墓にも行える。命日には会員に通知したり、他の会員から献花されると通知されたりする仕組みになっている。
このサービスを生み出したきっかけは同社、橋本一幸社長が長年飼っていた犬の死んだことだ。「亡くなったのは2020年1月。15年前から一緒にいたダックスフント『大吉』が実家で…。冬が苦手でいつもストーブの前に居た。逝去した日もストーブを陣取っていたようだ」と涙を浮かべて話す橋本社長。橋本社長だけではなく、社長自身の母親もショックのあまりペットロス(※1)になりかけたのだ。
そんなストレスの中、先立たれた者同士がウェブ上で気軽に交流することで、少しでも癒しに繋がるのではないか、と同サービスがひらめいたという。
ペットロスを癒す粋なサービスも
花のマークがあしらわれた『献花をしましょう』をクリックすると、暦の花。たとえば、3月ならガーベラが表示。花が散るなどの粋な試みをしている橋本社長。「愛犬の『大吉』が死んだとき、行政がご丁寧に低価格で引き取りに来てくれた。でもなんだか味気ないと思った。当サイトでは、ペットお葬式一覧も掲載しているので会員さんには満足いく納骨をやってもらいたい」。今後は、生花店や仏壇・仏具販売店などからスポンサーを募り、会員が花や線香などを贈呈できるよう構築していくと意気込む橋本社長だった。
空き室・空きテナントで困る家主に朗報?犬猫鳥の納骨堂としての新たな貸し方
橋本社長のようにオンラインで弔うサービスは実に効率的だ。しかし、我々人間、特に日本人は「骨の在り処」にこだわる人種でもある。両親、祖父母の納骨先は「すぐに花を供えられる自宅近隣がいい」「父親が好きだった場所にしたい」「名家だから大本山がいい」など遺族の思いが現れる。それはペットにても同じだろう。
近年、空き家、空き室が叫ばれ、コロナ禍で追い打ちかけるようにテナントも空きが目立ち始めた。家、オフィス、店舗として魅力のなかったスペースが、納骨堂として一役買う時代がくるのではないだろうか。
ライター:森山清一
※1ペットロスとは、飼い主がペットを亡くす、失うことで生じる喪失感のこと。
参考文献:
ペットロス体験を「症候群」と称することによる影響
木村 祐哉/川畑 秀伸/大島 寿美子/ 片山 泰章/前沢 政次
北海道大学研究論文
オンラインペット霊園サイト「memoriR(メモリアール)」
お問い合わせは
こちら