大阪市内を中心にシェアハウスを20棟250室を管理・運営するアドミリ(本社:兵庫県尼崎市、代表:菊竹貴史)。新型コロナウイルス感染症の影響で、非正規雇用で働く入居者や留学生が相次いで退去し、加えて新規の入居申し込みも減少した。
そのため、比較的外国人比率の高かった3棟20室を閉鎖するに至ったという。菊竹貴史社長は「同業他社も同じように影響を受けている。好立地にもかかわらず、入居率が悪い物件の売買や譲渡が発生している」と話す。しかし、同社では、低稼働で苦戦しているシェアハウスの権利を購入。新たにシェアハウスを運営するという。
場所は大阪市に位置するJR環状線「桜ノ宮」駅から徒歩10分。複数路線があり、歓楽街でもある「京橋」駅からも徒歩11分と利便性の良い場所に位置する。元々、関西圏でシェアハウス運営をメインとする不動産会社が、シェアハウス事業から撤退。菊竹社長のもとに、土地・建物を所有するオーナーから相談があり、5年間のサブリース で2020年12月から運営するに至ったという。
築年数は不明だが、昭和50年代の鉄骨造3階建て屋上つきの建物。新聞配達会社の社宅兼オーナーの住宅として建設された。
前述と重なるが、シェアハウスとして8年ほど前から、事業者が運営していたものの、間取りやしつらえなどに課題点が多く、このままでは入居率は下がる一方で、新規の申し込みは来ないと菊竹社長は総合的に判断。ターゲット層は25歳から30歳とし、男女、国籍問わず『かっこいい大人な感じ』をコンセプトとし、物件名である『京橋レジデンスSHARE』を開設したという。
共用部となっている1階のリビングにはデザイナーに一任し、リノベーションした。床、クロス、天井などの建材から家具や照明まですベて委ね、「大人のかっこいい感じ」に仕上げた。「改修前は病院の待合室のような雰囲気だった。シェアハウスを開業する際、いつも私がデザインも仕上げていたが、今回はプロに依頼した」(菊竹代表)。
一方、各居室部分は床にクッションフロアを貼付。壁の一面にはワインラベルやゾウといった特徴のあるアクセントクロスを取り入れながら、柄が目立ちすぎないよう落ち着ける風合いに仕上げた。掛かった総工事費は500万円。
全16室中、8名(2021年2月現在)が入居中だという。家賃は水道光熱費、インターネット使用料込みで4万5000円。
集客方法は、シェアハウスのポータルサイト、SNSや紹介など。入居時の審査は主に菊竹社長が面談をしており、家賃債務保証を用いたことは一度もなく、これまで家賃の滞納や夜逃げなどほとんど発生していないという。
2008年からシェアハウス事業を行い、さまざまなノウハウを構築してきた同社。現在、手掛ける全シェアハウスの稼働率は80%(コロナ禍前は95%)と高稼働だ。その理由は「即入居・家具家電付きで提供できるかどうか」(菊竹代表)が重要なポイントだと指摘する。
外国人は来日してからすぐに寝床(あるいは生活ができる場所)が必要で、審査などに手間隙掛ける余裕が時間的にも金銭的にもない。また、日本人についても「夫のDVから逃れてきた」「地方からやってきてすぐ部屋が欲しい」など切羽詰まった状況にある人が多いという。「そこの受け皿になり、寄り添えるようなサービスを展開すると間違いなくニーズはあると思う。今後の状況も見据えながら、さらに拡大していきたい」と意気込んでいる。
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シェアハウスきくや(運営会社 アドミリ)
ライター/森山清一